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あ〜き 書斎
[書斎 紹介書名リスト] あ〜 | く〜 | た〜 | は〜
あ〜き「愛の年代記」「浅草を食べる」
「朝比奈隆 長生きこそ、最高の芸術」「あたく史外伝」
「アロマフレスカの厨房から」「生きていくためのクラシック」
「イギリス人は「理想」がお好き」「イタリア・ワイン・ブック」
「板前修業」「ICHIRO  メジャーを震撼させた男」
「イチロー・インタビュー」「イチロー、聖地へ」
「イチローUSA語録」「イチローイズム」
「「一流」であり続けるために。」「一流ホテルマンが教えるお客さま対応術」
「歌右衛門合せ鏡」「海の都の物語・ヴェネツィア共和国の一千年」
「エル・ブジ 至極のレシピ集」「オールカラー完全版世界遺産全7巻」
「鬼平が「うまい」と言った江戸の味」「オペラは見てのお楽しみ」
「オペラ道入門」「カミさんの食卓」
「神の肉体 清水宏保」「かむかむ」
「カラー版 おいしいフランス 極上の素材を訪ねる」「漢字と日本人」
「「北島亭」のフランス料理」「旧暦はくらしの羅針盤」
「京都人は変わらない」「京料理、おあがりやす」
「京料理の迷宮」「今日の風、なに色?」
「狂食の時代」「「極み」の日本旅館」

「愛の年代記」
No.001 [著 者]塩野七生著
[出版社]新潮社刊 新潮文庫 400円(税別)
文庫本の裏表紙のコピーに「歴史資料の片隅に、わずかに残されたその華麗な生の証しをもとに、欲望、権謀の渦巻くイタリアの中世末期からルネサンスにかけて、<恋の歓び、哀しみ、憤り>など、さまざまな愛のかたちを抽出する」とある。9篇それぞれに胸に迫るドラマがあるが、「エメラルド色の海」を読んでいくうち、涙が溢れてきた。若い女性必読の1册。男性からのプレゼントにも。

「浅草を食べる」
No.002 [著 者]J.C.オカザワ著
[出版社]晶文社刊 1,700円+税
丸ビル・カレッタ汐留・六本木ヒルズばかりが飲食スポットではないと、下町浅草を徹底的に食べまくってガイドしている。名店百選を紹介しながら、心からの批評がある。観光客相手の老舗への手厳しいが的確な評価を、地元浅草の人たちは素直に受け取り、蘇生の手本にすべきである。どぜうのひら井、そばの蕎上人、和食の木の実など、他のガイドに載らない店を魅力的に紹介しているのもよい。

「朝比奈隆 長生きこそ、最高の芸術」
No.003 [著 者]木之下晃(写真・文)
[出版社]新潮社刊 1,800円+税
2001年12月29日に93歳で亡くなった指揮者・朝比奈隆の軌跡を写真と文章で辿った1册。亡くなる直前まで、現役最高齢指揮者として舞台に立ち、ベートーヴェン、ブルックナーなどを振り続けた。音楽に対してはどこまでも誠実と愚直を貫き通し、演奏に対しては威厳をもって胸を張ってきた音楽家の魂がどのページからも伝わってくる。80歳代後半からの姿が神々しく、人生のお手本としたい生き方が学べる。

「あたく史外伝」
No.004 [著 者]小沢昭一著
[出版社]新潮社刊 1,400円+税
じつは、著者はわたしの師匠である。俳優だが、劇団「芸能座」を主宰していた20年ほど前、「藝能東西」という雑誌の発行人.編集長もしていた。そのときの編集室長がわたし。著者が「僕の浅草案内」(講談社刊/現在、ちくま文庫に収録)を上梓されたとき、アシスタントを務めさせてもらい、東京の飲食店ガイドのきっかけを作って下さった。そういうわたしでも、知らないエピソードがふんだん、“アルバイト”の1章にはびっくり。昭和が懐かしい。

「アロマフレスカの厨房から」
No.005 [著 者]原田慎次/浅妻千映子著
[出版社]光文社刊 光文社新書700円(税別)
人気イタリア料理店、広尾の「アロマフレスカ」のシェフ、原田慎次さんの語り下ろし。「僕がほかの多くのイタリアンシェフの方と違うところは、イタリアへのノスタルジーがまったくないこと。向うへで修業していませんから。」と言うのが基調になって、料理とワインと自分の店に抱く情熱を静かな口調で語っている。繊細な感覚の持ち主であることが伝わってきて、料理の香りが立ち昇ってくる。

「生きていくためのクラシック」
No.006 [著 者]許光俊著
[出版社]光文社刊 光文社新書 720円+税
2002年秋出版された「世界最高のクラシック」の第2弾とも呼ぶべきクラシックガイド。最高の演奏のみに魅かれる著者が指揮者20名を選び、その演奏(CD)について細部にわたってその魅力を解き明かす。コラールとかフレージングにきちんと説明をつけるところを評価したい(さすがピアニッシモを非常な弱音と訳すことはないと思うが)。本物の最高の音楽を知りたい方にぜひ。

「イギリス人は「理想」がお好き」
No.007 [著 者]緑ゆうこ著
[出版社]紀伊国屋書店刊 1,600円+税
本の帯に“イギリスは本当に「おいしい」「大人の」「知恵に満ちた」理想の国なのだろうか?”とある。医療制度の矛盾を突いた第1章の「無料(ただ)より高いものはない」から英国の理想主義のおめでたさを指摘する。持ち家に執着するあまり、衣食住のバランスを崩す英国人。食への興味が薄いのはそのためだと著者はいう。英国の謎を生活の実体験から解いてくれる好著。

「イタリア・ワイン・ブック」
No.008 [著 者]出石万希子著
[出版社]新潮社刊 3,500円(税別)
とにかくイタリアワインは、飲みやすいけれども分かりにくい。また、ワインの名称からして統一性がない。その手助けとして最上の1册がついに出た。イタリアの271の優良生産者を、愛情と見識をもって紹介してある。生産者名(イタリア語、日本語両表記あり)からもワイン名からも引ける、まことに便利で重宝な事典。著者は、われら「Conviviありて」のメンバー、出石万希子さん。この出版は快挙といってよい。ワインファンは必携の1册。

「板前修業」
No.009 [著 者]下田徹著
[出版社]集英社新書 680円(税別)
銀座の現役の料理人が語り下ろした板前談義。調理のいろはから話をはじめ、誰が読んでも興味が持てる内容になっている。築地へ同時進行形で出かけしゃべる章がユニークで、築地の場内の人と魚の様子が活写されている。酸いも甘いもかみ分けた板前ながらではの話が随所に光り、日本人でありながら日本料理についてよく知らない人には格好の手引書となることうけあい。

「ICHIRO  メジャーを震撼させた男」
No.010 [著 者]ボブ・シャーウィン著/清水由貴子訳
[出版社]朝日新聞社刊 1,300円+税
アメリカのメジャーリーグは、現在オープン戦たけなわ。イチロー選手は早くも活躍ぶりをみせている。本書は、シアトル・マリナーズの番記者から見た、新人イチローの全貌である。野球専門記者たちの予想をことごとく裏切って、天賦の才を発揮するイチローを冷静かつ情熱をもって描いている。イチローと比較しうるメジャーのかつての名選手たちの話がとりわけ面白かった。

「イチロー・インタビュー」
No.011 [著 者]小松成美著
[出版社]新潮社 1,200円(税別)
メジャーリーグへ移ったイチローの眼が離せない。連続試合安打は15試合で止まったものの快進撃は続いている。その秘密を解き明かしてくれるのに格好の本が、「イチロー・インタビュー」である。読み進むうちに、素質に恵まれた天才が職人的修練を若い頃から積んでいたことに驚かされる。ひょっとすると、首位打者争いに加わるのではなかろうか、そんな予感を抱かせてくれる1册である。

「イチロー、聖地へ」
No.012 [著 者]石田雄太著
[出版社]文藝春秋刊 1,238円+税
イチローに関する本が出るたびに読みあさっているが、この本は「イチローインタビュー」(新潮社刊)と並んで双璧といってよい。イチローが心の内を素直に語っている。質問が見事だからだ。開幕以来、イチローはほぼ毎試合ヒットを放ったものの、後半の打席で1安打というのが多い。本書を読むと、2001年と違ったレベルの目標に向かって精進していることが理解できる。昨年の打率を上まわると、早くも断言しておこう。

「イチローUSA語録」
No.013 [著 者]ディヴィッド・シールズ編
[出版社]集英社新書 660円(税別)
サムライ・プレーヤー、イチローがアメリカの新聞・雑誌などのメディアにコメントしたものを丹念に拾い集めてある。大リーグ挑戦1年目の全記録が付録になっていて、これがとても面白い。彼の第1打席は、例によって左打者最悪パターンの2塁ゴロだった。(興味のある方は「イチローインタヴュー」をお読み下さい)さて、2002年のシーズン初打席は?

「イチローイズム」
No.014 [著 者]石田雄太著
[出版社]集英社刊 1,500円+税
2003年のメジャーリーグの話題はヤンキースの松井に集中している感があるが、やはりイチローからは片時も目が離せない。3シーズン目を迎え、この2年間を振り返って、自分のプレーを再考する。ボールをファウルにするときに新しい感覚をつかみ、今年はもっとヒットが打てそうな気がすると語る。イチローが狙っているのは、間違いなく4割だ、というのが読めてくる。

「「一流」であり続けるために。」
No.015 [著 者]小林成美著
[出版社]新潮社刊 1,400円+税
「ジョカトーレ 中田秀壽新世紀」や「イチロー・オン・イチロー」の著者が、一流のアスリートの活躍ぶりを紹介しながら、本人へのインタビューの中からアスリートたちの心のつぶやきを書き記している1册。コラムの記事が多いが、中田、イチロー、武豊に関する内容がとても濃く、料理人をこのように書ける女性のジャーナリスト、ライターが出現して欲しいと思ってしまう。

「一流ホテルマンが教えるお客さま対応術」
No.016 [著 者]箭内祥周著
[出版社]情報センター出版局刊 1300円+税
この手の本はとかくマニュアル化されたものが多いのですが、体験談を基に話を展開しているのでホテルの同業者でなくとも、とても面白く読めます。特に著者が客の立場で出逢ったサービスシーンは、ナルホドナルホドと納得のゆくことばかり。レストランで食事したり、ホテルに泊まることが好きな人には必携の1册といえます。

「歌右衛門合せ鏡」
No.017 [著 者]関容子著
[出版社]文藝春秋刊 1,619円+税
2001年3月31日に亡くなった稀代の歌舞伎役者で名女方の舞台を偲ぶ芸談集。歌舞伎の舞台に通じる者ならではの聞書きで、しかし、歌舞伎通でなくとも面白く読める1册。晩年の歌右衛門と共演し、現代の歌舞伎界を支える役者たちの歌右衛門評が興味深い。願わくば、著者自身の歌右衛門の舞台評をもっと読みたかった。十分に時間をかけ、まとめ上げたものを本人に見せることが叶わなかった著者の残念さはいかばかりか。

「海の都の物語・ヴェネツィア共和国の一千年」
No.018 [著 者]塩野七生著
[出版社]新潮社刊 上巻1,900円、下巻2,000円(共に税別)
年1作のペースで書き下ろしをしている「ローマ人の物語」の著者が、20年ほどまえに著わした作品で、ルネサンス著作集全7巻のうちの、2巻(上・下)。ヴェネツィア一千年の歴史を平易な名文で読ませる。上巻の第3話「第4次十字軍」など、時を忘れて読み耽った。戦場の男たちの描写は抜群に面白い。ヴェニスを水の都でなく海の都としているところが、著者ならではの歴史観である。

「エル・ブジ 至極のレシピ集」
No.019 [著 者]日本文芸社
[出版社]日本文芸社刊 1,800円+税
この夏に出かけ、カルチャーショックを受けた、スペインのレストラン「エル・ブジ」のフェラン・アドリアの料理の秘密の一部が覗ける1册です。写真がふんだんに載っているので、レシピ集といっても料理人でなくともとても興味深い内容になっています。未だ出かけたことのない食いしん坊は、この本を読んで来年出かけてみて下さい。(2000年は10月1日で閉店、来年は4月からの予定)

「オールカラー完全版世界遺産全7巻」
No.020 [著 者]講談社編
[出版社]講談社刊(+α文庫) 各巻940円+税
文庫本によるシリーズが2002年12月に第7巻が出版されて完結した。ヨーロッパ、アジア、アメリカ、日本、オセアニアの世界遺産に指定された土地、建物などをカラーで丁寧に紹介している。しかも、ハンディで各巻940円という価格。わたしは、2002年に訪れたサンクト・ペテルブルグとモン・サン・ミッシェルを読み直し、再び旅へ出たくなった。つくづく人間は面白くて不思議なことをするものだと思う。

「鬼平が「うまい」と言った江戸の味」
No.021 [著 者]逢坂剛ら著
[出版社]PHP研究所刊 1,300円(税別)
「鬼平犯科帳」のファンであり喰いしん坊のふたりの作家逢坂剛と北原亞以子、それに料理人福田浩(大塚「なべ家」主人)の3人が、味な場面を引用しながら、エッセイと料理を再現し、作家池波正太郎へのオマージュをつづった1册です。季節感に溢れ、江戸前の味わいがじんわりと伝わってきて、東京下町の人間にとってはたまらない本といえます。

「オペラは見てのお楽しみ」
No.022 [著 者]石戸谷結子著
[出版社]共同通信社刊 1,600円(税別)
LDに収められたオペラを中心に、その見どころ聴きどころを伝えてくれる、オペラファンにはたまらなく魅力的な1册。特に演出面で優れたオペラの紹介(例えば、ピーター・セラーズ演出の「フィガロの結婚式」。舞台はなんとニューヨークのトランプタワーの1室)が飛び切り面白い。残念なのは、LDそのものがもうほとんど手に入らないこと。次々とDVD化されていくだろうが、読んだ者にとっては待切れない。

「オペラ道入門」
No.023 [著 者]玉木正之著
[出版社]小学館刊 1,600円+税
いきなり、まえがきで「オペラはクラシック音楽ではない!」と説く。どのページを開いても刺激的な文章だが、説得力がある。この本を読んだ人は、間違いなくオペラを観たくなるはずで、演目ばかりであんく、おすすめのLD(いまならDVD)の見どころをくまなく披露してくれる。教養あふれる文章とはこういうものを指すもので、オペラの入門書、そして座右の書としてもおすすめしたい1册である。

「カミさんの食卓」
No.024 [著 者]中尾彬著
[出版社]朝日新聞社刊
役者にしてヴァラエティ番組に欠かせないタレント、しかも絵が巧いときている中尾彬さんが、エッセイでも達者なところを見せてくれる1册。タイトルにある夫人の池波志乃さんの食卓の話もさることながら、毎年ヨーロッパへスケッチ旅行へ出かけているそのエッセイがお見事です。ポルトガル、イタリアの両紀行で、真毎篇食べ物が登場し、その描写の確かなこと。目に浮かぶようです。最近、読んでいて最もお腹の空いた1册です。

「神の肉体 清水宏保」
No.025 [著 者]吉井妙子著
[出版社]新潮社刊 1,300円+税
現在、わたしが気になるスポーツ選手は3人。メジャーリーグのイチロー、サッカーの中田、そして、スピードスケートの清水である。その清水の本音が聞ける1册がはじめて出版された。64センチの驚異的な太ももの秘密、人間の能力の限界を突破させるためのトレーニング、その果てにレースを支配し、ZONEと呼ぶ未知の領域に踏み込んでの滑走で見える光のラインなど、ゾクゾクする話が詰まっている。

「かむかむ」
No.026 [著 者]文:カムカムズ/絵:南伸坊
[出版社]PHP研究所刊 1,300円+税
「噛む」ことの大切さを教えてくれる絵本。「噛む」という行為が健康や脳の発達にとってとても重要であることを、南伸坊のユーモラスなイラストレーションで優しく楽しく説いている。噛む力のない子供は、柔らかくて溶けるものばかり美味しいという。これに警鐘を鳴らすとともに、ふだん忘れがちな「噛む」という行為の根源的な意味まで伝えてくれている。

「カラー版 おいしいフランス 極上の素材を訪ねる」
No.027 [著 者]相原由美子著
[出版社]岩波書店刊 岩波アクティヴ新書 940円+税
以前、JALに乗るたびに楽しみにしていたのが、機内誌「ウィンズWinds」に連載されていたこの著者のフランス各地の食材を訪ねるルポルタージュだった。その連載に書き下ろしを加えたのがこの1册で、アスパラガス、モリーユ、オマールなどフランスならではの食材について興味深い話を披露している。とりわけ面白かったのが、テリーヌと呼ばれる南仏の珍味貝。本書で初めて知った。

「漢字と日本人」
No.028 [著 者]高島俊男著
[出版社]文藝春秋社刊 文春新書720円(税別)
毎日、文章を書いている人間が、読みはじめたとたん、背筋がピンと伸びる本である。漢字と日本語について考え尽くしてあるのだが、いつも当たり前に使っていた漢字を改めて考え直すキッカケを作ってくれる。わたしは、私と書かずわたしと書くよう、なるべくひらがなを使おうとする物書きだが、それを元気づけてくれるような内容でもある。

「「北島亭」のフランス料理」
No.029 [著 者]大本幸子著
[出版社]NHK出版刊 生活人新書 660円+税
ふだんは窺い知ることの出来ないレストランの厨房に入り込み、朝から晩までの仕事ぶりを克明に、時間を追いながら伝えてみせる迫真のドキュメント。オーナーシェフ北島素幸さんの料理人としてのスケールの大きさと人柄の温かさがどの頁からもにじみ出る。フードジャーナリストの著者会心の1册。読了後、ガイド本では絶対に得られない爽やかな感動がやってくる。美味しいものを食べて元気になりたかったら「北島亭」へゆこう!

「旧暦はくらしの羅針盤」
No.030 [著 者]小林弦彦著
[出版社]NHK出版 生活人新書 680円+税
季節はずれとか旬がわからなくなったという言葉を耳にすることが多いこの頃だが、この本を読むとその理由のかなりの部分が納得できるようになる。旧暦こそは日本の季節を知るのに最適なシステムなのである。旧暦に太陽歴を活用した「閏月」というのがあることを初めて知った。暦の成り立ちから、旧暦の活用法まで、現代生活に必要な知識と知恵が詰まっている1册である。

「京都人は変わらない」
No.031 [著 者]村田吉弘著
[出版社]光文社新書 680円+税
京都の料亭「菊乃井」3代目主人村田吉弘さんが語り下ろした京都人の本音の話。京都の人々の人間関係のあり方から流儀、作法まで、これほど具体的に鋭く語った本があっただろうか。「よそさん」の1章では、客を通して見た東京人論が展開され、じつに面白かった。それにしても、京都弁は何を言うにも得だなあ、と感じてしまう。京都へ旅行する人には必読の書。

「京料理、おあがりやす」
No.032 [著 者]門上武司著
[出版社]廣済堂出版刊 1,500円(税別)
日本料理でもなく懐石料理でもない。京料理とは一体何だろうというのを、体験に基づいてやさしく書き記したレポート、とでもいえばよいか。現役、特に若手の京料理の料理人から抽き出した話が面白い。21世紀は野菜の時代というのは同感。京野菜に期待するところ大である。

「京料理の迷宮」
No.033 [著 者]柏井壽著
[出版社]光文社新書 700円+税
現在の京料理と割烹料理店の姿を的確に捉えた1册。京料理は「水と土、技と手間の産物」と定義し、割烹料理店を具体的に挙げながら、その内容を示してゆく。料理人を全面に押し出した手法は大成功、読者は店へ出かける興味が倍増するに違いない。残念なのは、京都の料理屋のもてなし方を十分に説明せずに、「問題ありの有名店」の項で、そのもてなしを非難していることだろうか。優れた一例があったら救われたのに。

「今日の風、なに色?」
No.034 [著 者]辻井いつ子著
[出版社]アスキー刊 1,500円+税
全盲の視覚障害児を持った母親が、我が子の自然の音やピアノの音楽に敏感に反応する姿から、生きる力や音楽の才能を抽き出そうと懸命になる子育ての様子が、日記をまじえて描かれている。子供の隠れた能力、宝石の原石のような才能を、どうすれば素直に伸ばすことが出来るのか、障害ということを除いても、そのヒントがいっぱい詰まっている。

「狂食の時代」
No.035 [著 者]ジョン・ハンフリース著
[出版社]講談社刊 1,900円+税
イギリスのジャーナリストが、自国からBSEいわゆる狂牛病を発生させてしまった責任から出版した本である。殺虫剤が残留した農作物、養殖ケージから逃げ出した鮭がもたらす問題、遺伝子組み換え食品などなど、わたしたちの食卓にのぼる食材の現状を、つぶさに検証してゆく。なんでも1円でも安く、大量に供給したところに問題の根があったと、それを望んだ消費者を糾弾することも忘れない。時代を経ても読みつがれるだろう名著。

「「極み」の日本旅館」
No.036 [著 者]柏井壽著
[出版社]光文社刊 光文社新書 720円+税
「京都の迷宮」、「京都『なかひがし』の四季」の著者が、今度は日本全国の旅館から選りすぐりの宿を紹介する。前段に旅館に対する考察があり、後段に旅館を愉しむためのヒントの章を設けていて、話が具体的であるところに説得力がある。文中で食いしん坊を公言し、美味しいものを食べに宿に泊まることもあると書くが、浴衣で食べる懐石料理にもう一歩踏み込んだ批評があってもよかったのでは。